A 水晶に含まれる微量の「アルミニウム(Al)」と、自然界の「放射線」が原因です。水晶の基本化学組成は二酸化ケイ素ですが、結晶が成長する過程でケイ素のほんの一部がアルミニウムに置き換わることがあります。これだけでは色は変わりませんが、この結晶が長年、地中の岩石(花崗岩など)から発せられる微量の天然放射線を浴びると、アルミニウムから電子が弾き飛ばされます。この「電子が抜けた欠陥状態」が特定の光の波長(青色や黄色など)を吸収するため、私たちの目にはその補色である茶色〜黒色の「スモーキーカラー」として映るようになります。この構造を鉱物学では「カラーセンター(色中心)」と呼びます。
Q 「スモーキークォーツ」と、真っ黒な「モリオン(黒水晶)」の違いは何ですか?
A 基本的な発色メカニズムは同じですが、光を透過するかどうかの「透明度(放射線量)」が異なります。明確な境界線となる数値があるわけではありませんが、一般的には以下のように区別されます。 スモーキークォーツ(煙水晶):光に透かしたときに、茶色や暗褐色、黒っぽく見えても透明感があるもの。 モリオン(黒水晶):放射線を極めて大量に浴びた(あるいはアルミニウム含有量が多い)ことでカラーセンターが密集し、光を当ててもほとんど透過しないほど漆黒になったもの。 なお、その中間に位置する、濃い茶色で透明度が低いものは「ケアンゴーム(カンゴーム)」と呼ばれることもあります。
A はい、本当です。無色透明の水晶に人工的に放射線(ガンマ線など)を照射して作られたスモーキークォーツが市場に多く流通しています。
自然界で何万年もかけて浴びる放射線を、科学技術で短時間で照射したものです。
残念ながら、人工照射か天然の放射線によるものかを現代の鑑別技術(分光分析など)で100%見分けることは非常に困難です。なぜなら、結晶の内部で起きている現象(カラーセンターの形成)自体は、天然も人工も科学的に全く同じだからです。 ただし、あまりにも色むらがなく均一で濃すぎるものや、不自然に安価で大量に流通している原石などは、人工照射の可能性を考慮する必要があります。